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台湾の知能犯罪(詐欺罪、横領罪、背任罪、知的財産権と営業秘密の侵害等)に関する刑事告訴

已更新:2021年5月19日



 ご存じないかもしれませんが、日本では、民事財産紛争と関わる知能犯罪(詐欺罪、横領罪、背任罪、知的財産権もしくは営業秘密の侵害など)に対して、刑事告訴の提起は極めて難しいと言われています。しかし、台湾では、日本の刑事告訴実務と異なり、民事財産紛争と関わる知能犯罪に対して、刑事告訴は頻繁に利用されています。


 特に民事財産紛争の事実が刑事犯罪の要件に該当する場合、「警察を経由せずに直接に検察署」に刑事告訴を提起したのは、台湾でよく採用される手法です(例えば、交通事故の場合、先に民事損害賠償の訴訟提起ではなく、先に傷害罪を告訴することはよく見られています)。台湾では、なぜ優先的に刑事告訴の提起を採用するかについては、以下の通り、説明します。


1.証拠の収集のため 


日本でそもそも受理されない事件であっても、同じ事実を台湾で刑事告訴を提起し、検察署が受理してかつ迅速・積極的に捜査活動を行うことがあります。(普通の場合、1~2か月以内、被疑者と被害者に対して取り調べを行います。)例えば、以下のニュースの通り、60代おじいさんが傘を万引きした事件であっても、被害者の告訴によって直ちに起訴され、有罪判決が宣言されました。


【速食店外偷傘 6旬男辯「愛心傘」遭判刑】


したがって、台湾で民事財産紛争を提起したいのですが、証拠が不十分である場合、先に刑事告訴を提起することはよく見られています。


2.民事訴訟裁判費用の免除


 捜査後、仮に検察官が被疑者に対して起訴という決定をした場合、被害者は付帯民事訴訟を提起することができます。その際、民事裁判所に支払うべき訴訟費用(印紙代:約請求金額の1%)は免除されますので、訴訟費用の節約というメリットもあります。


 なお、刑事告訴の手続きの中で、検察官の心証の開示によって、被害者と加害者が和解したケースもよく見られています。刑事手続きは以上のメリットがあるため、刑事告訴は、未だに台湾現地の企業に、権利保護の手段として(特にクライアントリスト、経営のノウハウに関する営業秘密の漏洩、知的財産権の侵害事件)積極的に利用されています。


 これに対して、台湾の刑事告訴実務に不慣れな日本企業は、その状況の判断を誤って(特に検察署からの取り調べ命令が来た際)、結局、大慌てで民事訴訟で譲歩しすぎる事例も少なくないだろう。

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